ビジネスニュース:返品問題に苦悩する米家電業界、損失167億ドルを減らす対策はあるのか (1/2) - EE Times Japan
返品にかかわる問題は、今に始まったことではない。家電業界が誕生した当初から存在していると言っても過言ではないだろう。しかし近年は、製品に対する消費者の期待値が高くなり、製品の複雑化も進み、その結果として押し寄せる返品の波を食い止める対応が追いついていない状況にある。家電メーカー各社は、高い性能を追及する上で、この深刻な問題に対して包括的に対処する必要がある。今こそ、革新的かつ組織的な改革が求められている。
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Accenture(アクセンチュア)は今回、新しいリポート「A Returning Problem: Reducing the Quantity and Cost of Product Returns in Consumer Electronics(返品問題:家電業界における返品数および返品にかかわるコストの削減へ)」を発表した。それによると、米国の家電小売業者および家電メーカーが家電製品の返品によって受ける損失額は、2012年に約170億米ドルに達することが明らかになった。これは、2007年比で21%増となる。この損失額の内訳には、返品の受け取りや評価、修理、再梱包、在庫補充、再販などのコストが含まれる。同リポートは、実施した調査結果に基づき、主要な所見や洞察をまとめている。
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このリポートの中に、通信キャリアや家電小売業者、家電メーカーなどの経営陣を対象とした調査結果がある。それによると、調査対象となった小売業者の半数以上(57%)と家電メーカーの約半数(43%)において、過去3〜5年の間に返品率が上昇したことが明らかになった。一方、返品率が低下した小売業者は13%、家電メーカーは12%にとどまっている。
しかし、Accentureの調査結果からは、家電業界がコストの低減と返品数の削減を図る上で、重要なヒントとなる事実も明らかになった。返品された製品のうち、実際に欠陥があったものはわずか5%にすぎなかったのだ。
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また、27%は、欠陥の有無にかかわらず、「消費者が購入を後悔したこと」によるもので、残りの68%は「不具合があるとして返品されたが、実際には欠陥が見つからなかったもの」であるという。つまり、消費者が製品に欠陥があると認識した場合でも、小売業者や家電メーカーがその指摘に基づいて検査を実施したところ、欠陥が検出されなかったということだ。
消費者が、購入した製品の機能や利便性が期待にそぐわなかったという理由で小売業者に返品した場合には、消費者側に不満が残るだけでなく、小売業者やメーカーも損失を被るという二重の悲劇が生じることになる。
しかし、なぜこれまで返品問題への対処がなされなかったのだろうか。それには、主に3つの理由が挙げられる。1つ目は、一般的に、返品にかかわるコストは、ビジネス上で生じるコストの一部と考えられてきたためである。2つ目は、メーカー各社がこれまで、返品を防止することではなく、返品に対して効率的に対応することに注力してきたためである。そして3つ目は、返品にはいくつか理由があるにもかかわらず、すべての返品に対して同じように対応する"万能策"しか講じてこなかったためである。
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