Vol.10 嚥下障害の知識 〜専門知識の習得〜|バックナンバー|業界情報・動向Watch!|ガス火.jp - 業務用厨房情報サイト
水や食べ物が飲み込めなくなったり、肺の方へ行ってしまうことを『嚥下障害』といいます。また、食べ物や唾液が肺に入ってしまう事を『誤嚥』と呼びます。そして、肺に侵入した食べ物や唾液内の細菌が定着して発症すると、誤嚥性肺炎が起こります。
摂食・嚥下障害には大きく分けて機能的嚥下障害と構造的嚥下障害があります。構造的嚥下障害とは、その名のとおり解剖学的に障害のある状態で、例えば腫瘍により狭窄している場合、切除をしたことにより舌や咽頭の一部を失った場合などです。機能的嚥下障害とは、口腔・咽頭の構造そのものには問題はありませんが、動きや感覚に障害がある場合で、運動器官である筋肉が動かなくなる疾患、末梢の運動神経や感覚神経疾患、上位の中枢神経(脳)の疾患などによるもので、脳卒中やパーキンソン病がその代表的な疾患です。
自傷の徴候や症状
また、摂食・嚥下障害は、非常に発生頻度が高い障害と言われ、急性から慢性まで、内科系・外科系を問わず多くの疾患が挙げられます。身近なところでは、急性咽喉頭炎や多発性口内炎による一過性の摂食・嚥下障害があげられますが、経験したことがない方はおそらくいらっしゃらないでしょう。
特に、70歳以上の高齢者では、咽頭粘膜の萎縮や舌骨・喉頭位置の下降などにより、摂食・嚥下障害がおこりやすくなっています。また、大腿骨頸部骨折やガンなどの術後など、通常なら摂食・嚥下器官と関係の薄い疾患や手術においても、摂食・嚥下障害を合併する症例も少なくありません。
摂食・嚥下障害の患者に、何とかアプローチをしたいけれども「誤嚥性肺炎や窒息が怖くて何から手をつけてよいかわからない」、「設備や器具が揃わない」、「他職種の協力が得られない」などの理由で始められないでいた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、正しい知識をもち、出来ることから着実に一歩ずつ積み上げていけば、摂食・嚥下障害リハビリテーションの場合、結果も着実に返ってくることが多いのです。
私達自身も否応なく、将来、摂食・嚥下障害患者予備軍なのです。安全で、おいしい食事を提供できるよう知識を修得しましょう。
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毎日摂っている食事ですが、普段は何も考えずに食べています。
通常、食べ物は口から咽頭を通過して食道へ運ばれていきます。
ところが食べ物が誤って気管に入ってしまうことがあります。
この現象を誤嚥と呼びます。
- *注意点*
- 「むせ」ていないから安心?いえ、これは間違いです。気管の感覚障害などにより、「むせ」なくても食べ物や唾液を誤嚥している場合があります。自覚症状が少ないため、肺炎を起こしてから気づくことが多いので注意が必要です。
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飲食物や唾液・痰が誤嚥により肺に侵入し、細菌感染、浸透圧の変化、化学反応をもたらして、充分に酸素を取り込めなくなる状態を言います。また、胃の内容物の逆流が原因となることもあります。特に高齢者や寝たきりの方は胃の入口(噴門)のしまりが悪くなり、胃の内容物が逆流しやすくなります。これを誤嚥すると、胃酸を含んでいるため肺炎を起こす確率が高くなります。
- ●嚥下性肺炎の兆候として、以下のようなことが挙げられます
- (1)むせる
(2)チアノーゼ(末梢性)
(3)熱が出る
(4)肺雑音がある
(5)膿性痰が多い
(6)呼吸が苦しそう
◎特に高齢者の肺炎は重篤に陥りやすいので注意しましょう
嚥下障害の改善には、他職種との連携が必要です。
その中でも、栄養士の役割は非常に重要です。
(1)適切な栄養管理、栄養評価
(2)安全で、しかもおいしい食事の提供
(食物形態・味)
(3)食事の作り方、加工方法の家族指導
(適当な市販品の紹介も含めて)
なかでも、(2)の安全で、おいしい食事の提供が非常に難しく、また技術も必要になってきます。
しかし、食事が安全に行わなければ栄養管理や評価にはつながりません。「口から食べる」という日常的な行動が障害された時の気持ちは果たしてどのような感じなのでしょうか?
栄養素は様々な方法で摂取することはできますが、「食べる」という行為からは、香り・温度・食感・音・季節など様々な記憶をも呼び起こすものです。それが障害により阻害された時にこそ、リハビリを行うことで少しでも機能を取り戻したいものです。
栄養士の活躍で「口から食べる」ことを取り戻すことができる患者さまが多くいらっしゃることを忘れずに、臆せずに、恐れずに、取り組んでいきましょう。
参考文献:
日総研:ステップ方式で学ぶ摂食・嚥下リハビリテーション
日本医療企画:嚥下障害食のつくりかた
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