2012年6月4日月曜日

根尖膿瘍(こんせんのうよう) | モルモット飼育法‐初心者


カテゴリ:[ モルモットの病気 ]

モルモットの病気で必ずといっても良いほど発症し、恐れられているのが、根尖膿瘍という症状です。モルモットのように齧歯類(げっしるい)と呼ばれるエキゾチックアニマルでは、歯の構造やしくみはウサギやチンチラなどのように切歯(前歯)、臼歯(奥歯)が存在します。

また、これらの歯は一生伸び続けるという特徴があります。この歯の成長が正常ならば問題は無いのですが、何らかの理由で異常になり、食事などによる物理的な刺激が口内周辺を傷つけてしまう事が多いことが知られています。

根尖膿瘍の症状
モルモットの根尖膿瘍は「根尖」に生じる膿瘍で、歯根の先端部位に膿瘍ができる症状です。根尖には小さな穴が通っていて、細菌の感染が起こりやすい部位です。歯を欠損して根尖の穴内に細菌が侵入したり、歯茎への異常な刺激によって歯の側面から根尖部に感染をおこしたりするのは、他の動物でも起こりやすいのですが、特にモルモットの場合には、不正咬合からくる根尖膿瘍が多いことが知られています。


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考えられる原因
自然状態ではモルモットの歯は適当に摩耗して、絶えず健康的な新しい歯に更新されていくのですが、その歯の成長周期や摩耗プロセスが乱れてしまうだけで、歯を支えている歯茎や根尖部に刺激が伝わり、感染症から膿を持つ根尖膿瘍が形成されます。

部位的に感染部は自然治癒しにくい場所になるため、さらに毎回の食事で慢性的に刺激されるために、症状は放置すると回復困難になる場合が多いという病気です。

モルモットの症状は、初期の段階は食事が進まない、柔らかいものしか食べなくなるなどで、飼い主が気づくものですが、この時点で注意深くモルモットの口内を観察することができれば、歯周辺や口内に白い膿が溢れ出していることもあるようです。

症状がさらに進行すると、モルモットの食欲が減少し、エサを食べないようになります。この時モルモットは強烈な患部の痛みで食欲どころではない状態となります。エサを与えても、食べようとかんばりますが、結局じっと飼い主を見つめて何か訴えたい様子をみせるモルモットもいるようです。


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この状態はさらに続きますが、次第に体重が落ちてきます。重症になる場合には口内に膿瘍部の炎症肥大が見られたり、顎などが肥大してきます。

そのため根尖膿瘍と下顎膿瘍を同じ病気と診断する専門家もいるようですが、モルモットの真性下顎膿瘍は比較的少なく、まずは根尖膿瘍由来と考えた方がよいでしょう。顎の骨内部に炎症が進行することで、顎周辺の骨が溶けて変形したり敗血症を併発し、死亡するケースもあります。

根尖膿瘍はモルモットに多いといっても、すべてのモルモットが発症するわけではありません。発症原因には不正咬合によるものの他、遺伝的な原因やビタミンC欠乏症による原因も関与するといわれています。

ビタミンC欠乏由来の根尖膿瘍は、必須栄養素の不足により歯の成長に関係するコラーゲンや象牙質、セメント質が供給されないことによって不正咬合が発生、さらに根尖膿瘍に遷移すると考えられています。

根尖膿瘍の治療は、早期であれば、歯の異常成長を処置する目的で、伸びすぎたり変形した歯を研磨、カットする方法があります。また予後の感染症を抑えるために抗生物質を投与します。


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主な治療法
モルモットの口中の処置になりますので、専門医も少なく、麻酔を使用したり、入院によるケアも必要となりますので、費用的にも負担になります。根尖膿瘍部位はレントゲンによる診断も必要で、部位の状態により手術や膿の抜き取りを行います。

しかし処置後の回復に関しては、再発する場合が多く、何度も通院する場合は、医師の判断で治療をストップ(死亡宣告)する場合もあるようです。

発症例では2~3回の処置後は、飼い主に委託され、抗生物質などを投与しながら予後を全うする事例がありますが、普通の生活には戻れずに、次第に衰弱してくるものが多く、かわいそうで見ていられないという飼い主も多いようです。まれに奇跡的に回復し、食欲や体重が戻るといった事例もあるようです。

モルモットの根尖膿瘍はこのような病気なので、治療よりも予防を考えた方が良いかもしれません。
歯の摩耗を正常に保つような自然味豊かな食事の工夫や、ビタミンC欠乏症を防ぐメニューを整えて、モルモットの抵抗力を高める育成方法を考えるようにしましょう。

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